1.写真

「残されたのか」

おれは、写真に映る自分を見つめた。

「拓真」

写真の裏面には、そう書かれていた。

「広人」

おれを呼んだのは、写真の少年、拓真だった。

たった今、彼は命の部屋から帰ってきたのだ。

手には、壊れたカメラを握っている。

「同じ景色も繰り返せば、また違って見えるの」

「緑」

彼女は、おれの肩を借りる、拓真と、おれをフレームに収めるようにした。

「命の部屋から、帰って来たのね」

「静希」

「この世界は、私たちは繰り返すしかないの」

おれは、肌身離さず持っていたこの写真の意味をうっすらと分かり始めた。

「拓真。お前は、なんでここに帰って来たんだ」

「なんで、か」

拓真は、一つ息をつくと答えた。

「復讐するためだ」

「復讐。誰にだ」

「うまく行かなかった、自分にな」

おれは、知っていた。

その言葉の意味を本当に理解したとき、彼とは、共にいられなくなることを。